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  平成18年に施行されました国の法人等の見直し改革法に従いまして、この度4月1日より「一般社団法人  鹿沼歯科医師会」として名称も新たに再スタートを切る運びとなりました。これは日本歯科医師会、栃木県歯科医師会との健全な三層構造を維持し、更にはその連携を密に、かつ強固に図っていくことを目的に決断したものであり、永続的な関係を保ちつつ、より実のある活動が出来ればと願っております。
同時に、肝に銘じなければならないことは、法人になることが最終目的ではなく、市民に、より開かれた歯科医師会でありたい、市民の健康保持・増進を今まで以上に取り組んでいきたい、ということでございまして、ひいては「健康寿命の延伸」を図るべく邁進して参りたいと考えております。
このように歯科界にとりましても、大きな時代のうねりの中、社会的にも高齢者が30%を越えようとしている超高齢社会、或いは超少子化現象にどのように対応し、如何にすれば歯科医師としての職責を全う出来るか等々、舵取りの困難さは火を見るよりも明らかではありますが、会長としての重責を担うこととなった以上、粉骨砕身して市民の為、会の発展の為に力の限りを尽くす所存であります。

 さて、鹿沼歯科医師会は大正14年に産声を上げ、上都賀歯科医師会として齢88年を重ねて参りました。其の間には草創期の先輩方の真摯な眼差し、第二次世界大戦を挟んでの混迷期の人としての大らかさ、そして昭和30年に、それまで同一の会であったものが二つに分離され、今市歯科医師会(現日光歯科医師会)と袂を分かつ上での大所高所の考え方、そういった諸先輩方が築かれ、培われたものの上に現在がある訳でございまして、如何にして市民の「歯及び口腔」の健康を維持し、健全な心と身体を生涯に亘って保持するかに英智を傾注した先達の崇高な精神、相互扶助を前提とした和気藹々の気風等々、当代の歯科医師会を担う者の一人として、全身全霊をかけてそれを継承し、次の世代にバトンタッチしなければと考えております。

  当歯科医師会の主な事業としては、初妊婦を対象としたマタニティー歯科教室、2歳児教室、1歳6ヶ月児健診〜学校歯科検診、「歯と口の健康週間」における図画・ポスター、作文、標語のコンクール、楽しく学ぶ“親子むし歯予防教室”、フッ素イオン導入等のむし歯予防対策や啓蒙から始まって、歯周病対策としての歯周疾患検診(節目検診)や歯科ドック(お口の人間ドック)等を行っており、とりわけ歯科ドックに関しましては、平成8年に鹿沼市の国保加入者を対象として、全国初の試みとして始まったものであり、昨年度より内容も刷新向上の上、実施しております。

  その他、成人の為の健康教育、産業歯科検診・健康教育、休日急患歯科診療、障がい者歯科診療協力、寝たきり老人等の在宅訪問歯科診療、介護認定審査会協力、鹿沼地区歯科医師警察連絡会による身元不明死体等の捜査協力及び研修会等々、数えれば枚挙にいとまはありませんが、充実した内容の活動を展開しているものと自負致しております。

 また、2011年4月に栃木県の「歯及び口腔の健康づくり推進条例」が、また8月には国の「歯科口腔保健法」が施行され、私共も検討を重ねて参りましたが、鹿沼市議会議員各位の深いご理解とご協力のもと、勉強会・検討会を重ね、議員の皆様の発議による「鹿沼市・歯と口腔の健康づくり推進条例」が平成25年3月の定例会において、議員立法により可決成立し、4月1日に施行されましたことは、市民の健康寿命の延伸を標榜する意味でも、大変喜ばしいことであると考えております。
しかしながら、国や県と同様にこの条例も理念法である為、今後早急に設置が予定されている条例遂行の為の協議会において、言い換えれば基本計画の中で実行法を取り入れるべく議員各位と共に連絡調整を密にしつつ、真摯に取り組んで参りたいと考えております。
  尚、検討しなければならない課題として、新成人(20歳)対象の歯科検診、歯周疾患検診の対象者の拡充・整備、65歳到達者の歯科検診の義務化、特定疾患検診としての口腔がん検診、中学生からのスポーツマウスガード(特にコンタクトスポーツ)の普及、在宅介護並びに介護施設等の関係者が連携出来る仕組みの構築、障がい者歯科対策の整備等が挙げられますが、その中でも『  65歳到達者の歯科検診  』につきましては、PRも含めて徹底して対処して参りたいと存じます。
と申しますのも、平成元年に始まった「8020運動」も徐々にその成果が現れ、当初達成者は7%であったものが、平成24年現在26%にまで進捗してきた訳ですが、そのデータの蓄積の中から65歳で24本の歯が無ければ、達成も難しいということが判ってきたからなのです。

  日本は世界に冠たる長寿国ではありますが、それは平均寿命に関してであり、‘日常的に介護の世話にならない自立した生存期間である健康寿命’とは8〜10歳の開きがある訳でございまして、歯及び口腔の機能が維持されることは、個人々の生命を守り、暮らしを守り、尊厳さえも保てるものと確信をしており、ライフステージを通しての検診(健診)システムの構築に一意専心の気概で臨みたいと考えております。

  結びにあたりまして、私のモットーは難しいことはなるべくシンプルに考えて対応し、簡単と思えることは慎重にかつ十二分に検討する努力をすることであり、「役に立つか、わかりやすいか、やりがいがあるか」を常に念頭に、更には「変えてはならないもの、変えなければならないもの、変わらなければならないもの」をよく吟味して、即ち温故知新に留まらず「温故創新」の使命感をもって、更には行政の皆様並びに関係各位と手を携えて、市民の健康保持増進の為に、歯科医療という職責を通じて、その責務を果たして参りますことを、重ねてお誓い申し上げ、併せまして旧に倍するご指導ご鞭撻を切にお願い申し上げましてご挨拶と致します。

 

            「一人一人の努力は足し算、皆で協力すれば掛け算」を願って・・・

 

平成25年4月吉日

 

一般社団法人 鹿沼歯科医師会

会長 佐川 徹三