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 この度、平成27年6月20日(土)開催の鹿沼歯科医師会定時総会におきまして、会長としてのご信任を戴き、5期目の重責を担う事となりました。本来ならば後進に道を譲り、一歩下がった処から会の発展の為、また地域住民の健康保持増進に寄与すべきであると考え、自分なりには一つのけじめをつける思いでおりましたが、諸般の事情により再々度会長職をお引き受けする事となり、身の引き締まる思いであると同時に、一意専心で臨んで行こうと決意を新たにしている処であります。

  さて、この2年間を振り返りますと、様々な出来事が次から次へと波のように押し寄せて、しかもなんらかの成果を上げられた、換言すれば懸案であったものが形を成す事が出来た、そのような濃密な期間であったように思われます。
先ずは、平成25年4月1日より 法人格を取得した事に伴い、一般社団法人「鹿沼歯科医師会」として新たなスタートを切った訳ですが、それに付随して将来的な展望に立って同年10月1日には会とは別組織の「鹿沼歯科医師連盟」を発足させて戴きました。これは取りも直さず会の運営には政治的な取り組みも不可欠と判断したからであり、今後は会と連盟を車の両輪として適正な活動をと肝に銘じている処でございます。

  また、平成25年3月の鹿沼市定例議会において、議員提案により可決制定された「鹿沼市歯と口腔の健康づくり推進条例」も4月1日に施行され、その後アンケートの実施や基本計画策定委員会の中で計画の骨子をまとめ、他に決して引けを取らない「かぬま 笑顔とお口の歯つらつ計画」が上程され、平成26年度より運用された事は正に時宜を得たものと自負をしております。
実質面では、マタニティーの皆様から高齢者迄のライフステージを通した中で、各々数値目標を掲げさて戴きましたが、特筆すべきは比較的若い世代(20、25、30、35歳)の節目健診と65歳を対象とした「歯と口のいきいき健診」をスタート出来た事であります。
尚、本年度は更に一歩進めて、若い世代の健診は  20、25、30、32、34、36、38歳を対象に歯と口のいきいき健診は歯周疾患検診の対象年齢(40、50、60、70歳)を考慮して、65歳のみならず45、55歳まで拡大をする事となり、かつ「いきいき健診」は平成27年4月1日より新築移転した鹿沼市休日急患歯科診療所において実施出来ます事は大変喜ばしい事と考えております。

  更には、平成26年7月28日には鹿沼市との間で「災害時における歯科医療救護に関する協定」を締結させて戴きました。これは歯科、言い換えれば歯や口腔の特殊性を鑑み、摂食・咬合の維持保全と口腔ケアの徹底が災害時においても必須であり、その事を念頭に下記の通り活動して参りたいと考えております。
①歯牙や義歯等の破折や口腔内損傷に対して、搬送等が不可能で緊急を要する場合の現地での応急処置や対応を行う。
②集団で避難を余儀なくされている場合の応急処置や口腔ケアの徹底を図る。
とりわけ、口腔ケアに関しては、阪神淡路大震災において高齢者の多くの方々が口腔ケアの不徹底により誤嚥性肺炎で亡くなられ、その轍を踏まぬよう新潟中越地震(2004・10・23)では口腔ケアが十分に行われた為、比率において誤嚥性肺炎は40%、死亡者は50%も減少したという報告もあり、「命を守る口腔ケア」を肝に銘じて真摯に取り組んでいきたい。
③救護とは異なるが、不幸にもお亡くなりになり、尚且つ身元が判明していないご遺体がある場合には、歯科的個人識別を行えるよう、警察とも連携を図りながら対処する。

 閑話休題、鹿沼歯科医師会は上都賀歯科医師会として大正14年に発足し、満90年の齢を重ねて今日があります。その間多くの諸先輩の先生方が築き上げられてきたものは、如何にして地域住民の方々の歯や口腔の健康を保持するかに主眼点を置き、全身の健康維持増進をも図り、人が人としての暮らしや尊厳を守るということであり、今後もその高邁な精神は、真摯に受け継いでいかなければと、深く心に刻んでいる処でございます。

 当歯科医師会の主な事業としてはマタニティー歯科教室、2歳児教室、楽しく学ぶ”親子歯と口の健康教室”、フッ素イオン導入等のむし歯予防対策や啓蒙から始まって、歯周病対策としての歯周疾患検診(節目健診)や歯科ドック(お口の人間ドック)等を行っており、とりわけ歯科ドックに関しましては平成8年に全国初の試みとして始まったものであり、今後更なる充実とPRの徹底を図って参る所存でございます。
 その他、学校健診はもとより休日急患歯科診療、障害者歯科診療協力、寝たきり老人等の在宅訪問診療、介護審査会協力、鹿沼地区歯科医師警察連絡会による身元不明死体等の捜査協力、市民向けの各種研修会開催等、数えればきりがありませんが、充実した内容の活動を行っているものと考えております。(※詳細に関しましては当ホームページの各項目をご笑覧戴ければ幸いです。)

   尚、近々に対処しなければならないものとして、満75歳のいわゆる後期高齢者に対しての歯科健診を本年中には実施予定でおりますが、予防的な歯科健診というよりは、むしろ現状把握を目的に、言い換えれば歯や口腔の機能は保たれているか、咀嚼や咬合に問題はないか、義歯は適正な状態であるか等々を知見し、アドバイスをする事が出来れば、健康寿命の延伸も図れるのではないかと思われます。
それともう一つ、5年前に85周年記念誌を発刊致しましたが、その際に今後は5年毎に会の活動を纏めて年譜を主体に会誌を発刊しようという機運が高まり、間もなく90周年記念誌を上梓出来ます事は無上の喜びであります。

 結びにあたりまして、私のモットーは難しいことはなるべくシンプルに考えて対応し、簡単なことはちょっと待てよと慎重にかつ十二分に検討する努力をすることであり、「役に立つか、わかりやすいか、やりがいがあるか」を常に念頭に、歯科医師会会員のみならず、行政・三師会・衛生士会等の医療や福祉の関係者の皆様と、連携を密にし手を携えて職責を全うする所存でございますので、当会に対しましての旧に倍するご指導ご鞭撻を切にお願い申し上げ、ご挨拶とさせて戴きます。
 
『一人一人の努力は足し算、皆で協力すれば掛け算』を願って・・・


平成27年7月吉日

 

一般社団法人 鹿沼歯科医師会

会長 佐川 徹三