☆中学校☆

 

●優秀賞

『矯正と私』 鹿沼市立東中学校 3年 栁澤 菜乃羽

「ねえ、その歯についてるの、何?」
これは私が小学六年生の頃に友達から言われた一言です。
 私の前歯は上の歯と下の歯が全く噛み合わないうえに、上の前歯はそり返り、ガタガタでした。面白いことがあって大きく口を開けて笑おうとすると、その歯の並びが目立ってしまい、大きな口で笑うのが恥ずかしくなりました。そして、矯正をつけてガタガタな前歯が治っても、矯正器具について聞かれるのが嫌なので、面白いことがあっても、口を開けて笑うことがなくなってしまいました。
 自分の前歯と矯正器具が嫌になった時、そんな私を変えてくれたのは、お母さんでした。お母さんは私にこう言いました。「大丈夫だよ。大きな口で笑ってみなさい。貴方の歯は器具のおかげでなおったんだから。それに感謝せず、笑うのも我慢していたら、せっかくきれいになおった歯に失礼だよ。」
 それを言われてから私は今までを思い返してみました。嫌で仕方なかったガタガタの歯をなおすために、痛さに負けることなく器具を付けて過ごした日々。歯みがきがしづらく、どうすればうまく磨けるのか沢山悩んだあの時。ガタガタな前歯がなおってきて喜んだあの時。嫌なことも、嬉しいことも、すべてを過ごしてきた矯正器具。それを私は恥ずかしいからという理由で.感謝の気持ちを持たず、毎日を過ごしていたんだと思うと矯正に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
 それからの私は、矯正に対して感謝の気持ちを持つこと、楽しいときは存分に楽しんで、笑うときは大きな口を開けて笑うこと、この二つを意識するようになりました。今、私が明るく、楽しく、笑あふれる毎日を過ごしているのは、あのお母さんの言葉と、矯正が私にくれた自信があるからです。
 「矯正は痛い。そして、歯に変なのがついているから嫌だ。」
 という言葉をよく聞きます。しかし私は、その言葉にショックを受けることがなくなり、
「矯正の大切さを教えてあげたい。」
 と思うようになりました。私は今、保険委員として全校の歯の健康に努めています。矯正を経験したからこそ分かる気持ち。歯についての活動があるのなら、積極的に取り組み、矯正の大切さをたくさんの人に伝えていきたいです。