☆中学校☆

 

●優秀賞

『口腔ケアは一人一人に合わせて』 鹿沼市立西中学校 3年 秋葉 絢

 私には兄と姉がいます。私と年の離れた兄と姉は私にとってあこがれの存在で、私は小さい頃から兄や姉のまねをしてなんとか近づきたいと思っていました。歯みがきも兄や姉のまねをして自然と毎日していました。
 私が小学校にあがった年、兄は中学生、姉は小学校高学年でした。歯医者さんの待合室で、ふと思ったのです。なぜか、歯医者さんに通うのは私ばかりなのです。兄と姉はたまに歯医者に行ってもむし歯治療ではないようです。しかし、歯みがきは二人と同じようにやっているのだから、私ばかりがむし歯になるはずはありません。
「お兄ちゃんとお姉ちゃんは、いつむし歯を治しに来るの?」
私はついに母に聞いてみました。
「お兄ちゃんとお姉ちゃんにはむし歯はないのよ。」
 なぜ、なぜ同じようにやっているのにむし歯がないのだろう。私は困惑しました。それなら、もっと二人と同じように歯みがきをしよう。私はそう思って歯みがきをまねました。しかし、どう考えても、二人のみがき方はあまりていねいとは言えません。私は二人のまねをしてむし歯にならないようにしているのに母は、私にばかり念入りに歯みがきをするように言ってきます。歯医者さんでもていねいにみがくように言われました。
 そんなある日、私の歯は突然激しく痛み出しました。行きつけの歯医者さんの先生は、もう少し悪くなったら歯を抜く所だったと言いました。私はそれ以来、兄や姉以上に念入りに歯みがきをするようになりました。
 後で分かった事なのですが、兄や姉はどうやらむし歯になりにくいのかもしれないのです。母親の家系に比べて、父親の家系はむし歯の人が少なく、父も祖父もむし歯がありません。もしかすると兄や姉は父方の影響を大きく受けていたのかもしれません。だから私が、兄や姉と同じようなみがき方をしていてもむし歯になってしまったように思えます。
 幼かったとはいえ、もう少し早くその事に気づいていたら母や歯医者さんの言う通り、もっとていねいに歯みがきをしていたのに、と残念です。歯は一度悪くなると自然に治るものであはりません。私はこの体験を通してその事をとても痛感しました。今はしっかりケアをしてむし歯を予防しています。
 もちろん兄や姉のように実際にむし歯になりにくい人でもケアや歯みがきをすることは必要です。なりにくいと言っても全く歯みがきをしなくてもむし歯にならない、という人はいないでしょうし、今は歯周全体のケアが大切ともいわれています。実際に兄も姉も、むし歯がなくても定期的に歯医者さんに通ってケアをしてもらっています。
 口腔の状態は一人一人違います。むし歯のなりやすさは、歯並びや食生活でも変わってきます。私も、兄や姉のまねではなく、歯医者さんのアドバイスを聞いておけば良かったのかもしれません。
 たとえむし歯がなくても歯周病のケアも含めて、歯医者さんのアドバイスが大切だと思います。一人一人に合わせた口腔ケアがとても大切だと思います。